結局、ぎっくり腰ってどんな状態?

 整体まくまくの「結局シリーズ」。今回は急性腰痛いわゆるぎっくり腰についてお話しします。

お話する前に、ぎっくり腰になったときに注意してほしいことが2つあります。

・病院を受診する(特に圧迫骨折がないかは必ず確認)

・腰や周辺の筋肉をほぐさない

 ぎっくり腰とは急性腰痛の総称です。急に腰に激痛が出て動けなければぎっくり腰です。総称なので、ぎっくり腰といっても骨折、内蔵の病気、癌など整体で対応できないケースや内科系疾患である可能性も考えなければなりません。ぎっくり腰になったらまずは病院を受診することをお勧めします。

圧迫骨折の場合、骨折部位の断面がきれいに折れてると稀にレントゲンで発見できず見逃されることがあると聞きます。その場合は日を追うごとに断面がズレ始め痛みが強くなる傾向にあります。病院を受診して画像所見に異常が無くても念の為3日は様子を見ることをお勧めします(画像所見に異常がなく、3日も待てないという方は1度ご相談ください)。

 この記事では、ぎっくり腰の考えられるすべての事例ではなく、整体師である私が日頃の施術の中で遭遇する機会が多いパターンのぎっくり腰を解説します。

 「ぎっくり腰ってなに?」と質問すると返ってくる答えで多いのが「筋、筋膜の炎症」という答えです。なので整体師になる前の私は、「腰の奥の筋肉が肉離れを起こしてるんだな~」と思ってました。実際にぎっくり腰を起こしてる最中の人を解剖することは難しいということと、総称なので稀なケースとしてあるかもしれませんが好発事例では無いと考えています。それは、血腫(内出血)が見られない、ぎっくり腰しそうになるという現象が肉離れだと考え辛いという理由からです。

私が考えるぎっくり腰の多いケースは、

【関節包・関節周辺の軟部組織の挟み込みによる炎症】です!

 私達の関節は、関節包という袋で包まれています。その中は滑液で満たされており、滑液や関節包、周辺の軟部組織には関節の状態(角度、加速度等)を脳や脊髄に伝える固有受容器が豊富に存在しています。

 通常は関節に関節包や関節周辺の軟部組織が挟み込まれることはありません。それは、挟み込まれる前に関節包に付着する筋肉が引っ張ってくれるからです。しかし、何らかの原因で筋肉の収縮性能の低下(収縮タイミングの遅れ、収縮しない)が起こると、関節包を引っ張ってくれずそのまま関節に挟んでしまいます。これが炎症となり強い痛みとして現れると考えています(軟部組織の挟み込みでは痛みは強くなく主に可動域制限が出現)。主に、腰部多裂筋の収縮性能低下が引き金となります。

腰部多裂筋は腰椎椎間関節の関節包にも付着しており、収縮時に関節包を引っ張ってくれます。腰部の多裂筋を酷使して疲労が蓄積していたり、ストレッチやマッサージの施術をしすぎたり、固有受容器の性能低下で脳や脊髄に正しい関節の情報を伝えられず、最適なタイミングで脳や脊髄が収縮の命令を伝達できないのが主な収縮の遅れの原因だと考えています。収縮が遅れて関節包を引っ張ってくれず挟み込んでしまいます。重いものを持つ時、前屈みになって起き上がる時等、多裂筋の収縮が必要なタイミングでぎっくり腰になったと言う患者様が多い印象を受けます。

 上記のパターンでぎっくり腰が起こりやすい関節は、

①腰の骨同士の関節(腰椎椎間関節)

②腰の骨と骨盤の関節(腰仙関節)

③骨盤の関節(仙腸関節)

です。

それぞれ解説します。

①腰の骨同士の関節(腰椎椎間関節)

 腰椎の椎間関節は、回旋動作は殆ど無く(各関節1〜2度とされている)、腰椎の側屈や前弯、後弯が主な動きです。側屈は身体を側屈する時もそうですが、日常生活では、いざり動作と呼ばれる片方の骨盤を引き上げるような動きでよく使います。おしり歩きや寝返り、電車で1つ席を隣へ詰める時に腰椎の側屈が入ります。椎間関節は各関節に左右1つずつあります。

 椅子に座って手を使わず右→左に移動するときに痛み違和感が出現すれば、左の椎間関節周辺の固有受容器、左→右への移動で出現すれば右の椎間関節周辺の固有受容器の働きが弱まっており、それにより多裂筋の収縮の遅れが起きています。寝返りをうつとき、お尻を浮かせた時痛い場合も同様です。

②腰の骨と骨盤の関節(腰仙関節)

 腰仙関節も仕組みは①腰椎椎間関節と同じです。関節包周辺の固有受容器の働き不足で、関節への挟み込みが起きやすいと考えています。ただ、ぎっくり腰を起こす関節の中でもかなり多い関節だと感じています。さらに、腰仙関節では癒着が慢性的な腰痛の原因になっていることが多いです。1度ぎっくり腰を経験したり、ぶつけたり等で炎症が起こるとその治癒過程で癒着を作ってしまうことがあります。かさぶたのように、ベタベタする物質が微小出血が起こっている部位をくっつけて止血してくれますが、その過程で周辺組織も一緒にくっつけてしまって炎症が治ったあとも可動域制限や痛みが起こります。癒着が形成されると、度合いにもよりますが勝手に治ることは少なく、癒着をリリースできる施術を受けない限り癒着による腰痛は慢性的してしまいます。

③仙腸関節

 仙腸関節も癒着を形成したり、周辺の固有受容器の働きが弱まることが多い関節です。関節の中でもかなり動かないことで知られており(現在でも動く派と動かない派で議論が展開されています)、そのような、もともと動きの少ない関節ほど周辺に固有受容器が豊富に存在しています。仙腸関節周辺の固有受容器が働き不足になると、身体にかなり影響を及ぼします。重心位置や姿勢制御の観点からもかなり重要部位です。ぎっくり腰を起こした人は高確率で仙腸関節周辺の固有受容器の働き不足が同時に起こっており、施術することでかなり楽になるケースが多いと感じています。

まとめ

 日頃よく見かけるぎっくり腰の仕組みをお話しました。どの部位でも共通するのは、固有受容器の働きが低下していることです。固有受容器の働き低下は、身体の運動学的な機能の低下を意味しています。骨の変形など、画像所見(レントゲン、MRIなど)ではわからない、脳や脊髄と筋肉のチームワークが乱れることで辛い痛み・症状を引き起こしているのです。

 固有受容器への施術は、基本的に1回で完了します。1回の施術で立ち上がりや寝返りなどの日常動作で起こる激痛はかなり楽になることが多いです。炎症そのものの痛みはすぐにはとれませんが、炎症特有のズーンとした重たい痛みは1週間ほどで落ち着きますのでご安心ください。

 定期的に、身体を動かして固有受容器の働き不足を予防すると同時に、働き不足の関節がないが、物理的に癒着している箇所がないかチェックしていきましょう!

整体院まくまく院長 日高

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