結局、反り腰って何がダメなの?

 こんにちは。整体院まくまくの院長日高です。今回は記念すべき整体院まくまくの「結局シリーズ」第1弾として、結局反り腰って何がダメなの?という題材でお話していきます!

 整体師などのSNSや動画配信サービスで、セルフケアだったり身体の話をするときによく聞く「反り腰」という言葉。マッサージや整体で直接言われることも多く、「そのままにしてると良くないですよ」という説明で不安になりますよね。今回は、なぜ反り腰の放置は良くないと考えられているのか、何をしたらいいのかについて、整体院まくまくの院長日高が考えをお話します。

 そもそも、腰椎(腰の骨)は少し反っています。首から腰までの背骨(頚椎7個、胸椎12個、腰椎5個)は生理的湾曲という緩やかな湾曲があり、頚椎は反って、胸椎は丸まって、腰椎は反っています。

そのおかげで日々の活動で床反力を受け流したり、しなやかに身体を使うことができます。生理的湾曲が車のサスペンション衝撃を吸収して脳や脊髄を守る役目もあると言われています。とても大事なのは頚椎、胸椎、腰椎がそれぞれずっと湾曲をキープするのではなく、場面によって湾曲具合を変えて姿勢制御できることです。つまり、腰が反ってる事自体が悪いというより、場面に応じて腰の反り具合を調整できていないことが様々なトラブルを引き起こすと考えています。

 本記事では、場面に応じて腰の反り具合を調整できていない(反りすぎ)状態を、反り腰と定義します。反り腰は、骨盤が前に傾いているとき、上半身もお辞儀するように前に傾きますがそれだとまっすぐ立てないので、腰を反らせて見かけ上まっすぐをつくっている状態です。

骨盤を前に傾けているのは、股関節を屈曲する筋肉(膝や腿を上げる筋肉)、太腿を内巻き(大腿骨を内旋)させる筋肉が収縮した状態で固くなっているのと同時にお腹の筋肉の働きが弱まっていることが主な原因として考えられます。基本的に反り腰以外にも猫背、ストレートネック、ストレートバック、巻き肩など、悪い姿勢というのは

・悪い姿勢に引っ張る筋肉が収縮

・いい姿勢を維持する筋肉がサボる

の2つが起きています。つまり、それらを改善するには

手順①悪い姿勢に引っ張る筋肉のコリをゆるめる

手順②いい姿勢を維持する筋肉のエクササイズ

が不可欠です。

反り腰が原因で予想される痛み・症状は次の通りです。

①立位(立っているとき)で起こる腰の下部の痛み(立ち仕事、キッチンなど)

②歩行時の下半身の痺れ・痛み(間欠性跛行)

③歩行時のふくらはぎの強い張り・むくみ

④腰椎分離症・すべり症

⑤便秘

⑥股関節・膝関節の痛み(変形性股関節・膝関節症)

⑦立位で腰の下部につまり感、座位で腰の筋肉の辛さ

まだまだありますが、とりあえず上記問題が多いと感じています。簡単に説明していきます。

①立位で起こる腰の下部の痛み(立ち仕事・キッチン等)

 腰椎は、立位で前弯が強まり座位で前弯が弱まる傾向にあります。それは骨盤が座っているときは後ろに傾くように座るからです(⑦のタイプは除く)。しかし、立位で腰椎が可動域の限界まで反っているのはよくありません。傾向として多少反りが出ますが、最大限に反ってるわけではなく、腹圧、腰椎、脊柱起立筋群の3つの柱で身体を支えています!この3つの柱が超重要ワードです!反り腰の人は、腰が反れる可動域の最大限まで反り、3つの柱ではなく、反りきった可動域の限界(腰椎の関節のぶつかり)を安定材料として立っています。つまり、立っている間腰椎の関節に負担がかかり続けています。特に腰椎の下部(腰椎4番と5番の関節、腰椎5番と仙骨の関節)には強いストレスがかかり関節の骨が折れたり(腰椎分離症)、その上を通る多裂筋(脊柱起立筋群の1つ)がこわばってぎっくり腰を引き起こすリスクが上がります。なぜ、腰を反りきって立ってしまうかというと、諸説ありますが腹圧が入らないのが最大の要因だと考えています。先程述べた3つの柱。腹圧、脊柱起立筋群、腰椎のバランスが、腰を反り始めると、腰側は反っておなか側は広がります。すると腹圧を機能させることが困難になります。つまり、安定材料が減り背骨を支えきれなくなります。そうなると腰が反りきってしまい、反りきった限界(関節のぶつかり)を安定材料としてしまうのです。すると、キッチンでお皿を洗っていると腰の下部につまり感が出たり、立ち仕事で徐々に腰の下部が辛くなってきます。それは、腰椎の関節がぶつかり続けることで体重を支えているからです。

②歩行時の下半身の痺れ・痛み(腰部脊柱菅狭窄症による間欠性跛行)

 5分は歩けるけど、「5分以上歩くと下半身がつらくなる」そして、前屈みになって少し休憩するとまた歩けるようになるけど、5分歩くとまた辛くなる。という症状を訴える患者様が多いです。これは間欠性跛行という症状で、主に脊柱菅狭窄症の診断を受けてる方によく見られます。何が起こっているかというと、腰部脊柱菅という腰椎の中を走る神経のトンネルが狭窄(狭くなる)ことで、下半身への神経の血流障害が起きています。脊柱菅狭窄症の説明でよく、脊柱管の中の軟骨や骨が肥厚して神経を圧迫しているといまれますが、それなら前屈みで少し休んだところで回復しないでしょう。神経を部分的に圧迫しているというより、腰椎が反りきった状態は脊柱管の中の神経を全体的に締め付けるような圧迫が歩くたびにかかり、神経への血流供給を阻害します。よって、下半身の神経が血流不足になり歩けなくなってしまいます。前屈みになることで、腰椎の反りが無くなり、脊柱管内の神経への圧迫が開放されることで血流が正常に供給され再び歩ける状態に回復することができます。しかし、腰が反りきった状態での歩行を始めると5分かけて血流障害が強まり再び歩けなくなるということが起こります。この間欠性跛行を改善するには、歩行時の腰椎の反りをおさえて、腹圧を安定するエクササイズを行う必要があります。

③歩行時のふくらはぎの強い張り・むくみ

 お出かけした帰り道など、ふくらはぎがパンパンになって辛いとお悩みの方がこのタイプです。なぜふくらはぎが張りやすくなるかというと、歩行時に足首を動かす筋肉を使いすぎているのが原因です。これは私の経験上ですが、バスケットボール、テニス、ダンス、バレエ、器械体操、水泳(特に平泳ぎ)経験者が多いです。

 正しい歩行は、前に出した脚に膝の上の筋肉を使って上半身を持ち上げて、太腿は股関節を支点に身体の後ろに引きます。しかし、反り腰の人は股関節を屈曲する筋肉がかたまってることが多く、太腿を後ろに引くのが苦手な傾向にあります。実際に歩くと、脚を前に出して後ろに引くとき後半は股関節伸展の動きが少く、膝を曲げて踵を浮かせる時間が長い特徴が見られます。つまり、股関節屈曲筋がかたいのが原因で、足首やふくらはぎの筋肉を使う時間が長くなってしまいます。これではすぐにふくらはぎがパンパンになります。これを改善するには、股関節屈曲筋のコリをゆるめて、膝上の筋肉と腹圧を使った正しい歩行動作を行う必要があります。ふくらはぎがパンパンになると、循環器系の問題が起こり冷えやむくみが起こる恐れがあり、下腿コンパートメント症候群という下腿の筋膜内の圧力が高まり炎症を起こすリスクも上がると考えます。歩行動作はみんな独学なので正しい歩行動作を学ぶ機会がなかなか無いのが現状です。整体院まくまくではモデルさんのような見栄えがかっこいい歩行指導とは違う、身体への負担を軽減する正しい歩行動作を獲得する指導も行っていますのでご相談ください。

④腰椎分離症・すべり症

 ①でも述べましたが、腰を反りきった状態は、腰椎椎間関節に負担をかけ続けてしまいます。すると椎間関節の疲労骨折が起きてしまい(腰椎分離症)、左右の椎間関節に疲労骨折が起こると椎体にズレが生じます(腰椎すべり症)。プロアスリートや、部活動に打ち込む学生にも多く見られ、腰を反りきった状態で回旋を始めとした動作を反復することで椎間関節に負担をかけ腰椎分離症になるリスクがあると考えます。改善・予防するには、股関節屈曲筋のコリをゆるめ、腹圧を獲得します。その後、スポーツを行うのであれば椎間関節に負担になると考えられる動作で、他の部位は正常に動いているかを確かめる必要があります。例えば回旋の場合、胸椎や胸郭がかたいと回旋時に腰椎の負担が増えてしまいます。

⑤便秘

 反り腰だと、3つの柱が使えなくなると先述しましたが、そのながで最重要の柱が腹圧です。腹圧は腹腔内圧の略で、お腹の周りを腹横筋、後ろを脊柱起立筋群、上を横隔膜、下を骨盤底筋群が担当して適度な収縮を保つことで、ラグビーボールを立てにしたような形の圧力の柱が完成します。これが腹圧です。腹圧は体幹の安定の他に、排便時のいきむ力にも使われます。反り腰の状態が長い方は、腹横筋の収縮が弱まってたり腹圧のかけ方がわからなくなることがあります。そのためいきむ力が弱まったり、姿勢不良により消化器官(特に腸)の活動にも悪影響を及ぼすことが予想されます。

⑥股関節・膝関節の痛み(変形性股関節・膝関節症)

 反り腰だと、腹圧低下、股関節伸展制限が起こると先述しました。その結果正しい歩行動作ができなくなります。特に、大臀筋(股関節を外転する繊維)と膝上の筋肉(大腿四頭筋、特に広筋)の収縮は、股関節と膝関節の負担を軽減するために必須です。大臀筋と広筋の収縮は、股関節を安全な位置で固定する役割があります。大臀筋と広筋の収縮が上手くできないと、体重をかけたときに臀部から太ももにかけて痛みや痺れが出現します。歩行時に下半身に痛みが出るので、脊柱菅狭窄症と間違われがちですが、脊柱管の問題ではなく、股関節が体重を受け止める準備ができる前に関節に負担がかかることでおきます。脊柱菅狭窄症の診断を受けて、薬が効いてる実感がないかつ、1歩目から痛み・症状が出る方は、大臀筋と広筋に問題があるかもしれません。その場合、単純に揉み解して緩めるのではなくしっかり収縮できるような施術とエクササイズをする必要があります。

【右足の場合】

・この画像のように、1歩前に踏み出して足首を90度で固定します。

・足首の90度を保ったまま、膝上の筋肉を使って伸び上がるように上半身を右足の上に乗せていきます(ゆっくり)。

右足に上半身を乗せたあと、再びゆっくり膝上の筋肉を使ってもとに戻ります。これが、膝上の筋肉(広筋)と大臀筋のエクササイズです。

大臀筋の筋力が弱い方は、股関節の関節包に癒着がある場合があります。関節包に癒着があると、その周辺の筋肉はこわばり続けてしまい(反射性筋攣縮)本来の筋力が発揮できません。リハビリを頑張っても臀部の筋力が上がらない場合は股関節の関節包の癒着をとる施術を行い、その後広筋と大臀筋で股関節を安定させる練習を行うと良いでしょう。

⑦立位で腰の下部につまり感、座位で腰の筋肉の辛さ

 立位で腰の下部につまり感が出ることは、①で述べた通りです。反り腰の状態が長いと、反ってる側(腰)は筋肉が収縮したままかたまりやすいです。特に多裂筋は、椎間関節と同じ神経支配であり、椎間関節の関節包に癒着が起こると反射性筋攣縮が起こる可能性が高いと考えています。多裂筋は腰を反らす作用があるので、収縮したままだと骨盤の前傾を緩めても腰椎の前弯は解除されません。通常座位で、骨盤は後ろに傾きますが多裂筋の収縮が強いと腰椎が前弯から動けずに、収縮した多裂筋に負荷がかかり続けます。座っていると多裂筋がかなり疲労します。それが辛さとなって現れたり、関節包を関節に挟み込んで炎症が起きる(ギックリ腰)リスクが上がります。この場合は、多裂筋からの筋膜の繋がりを利用してリリースしたあと、特にかたい多裂筋に対して特別なストレッチを行います。その後、股関節屈曲筋のリリース、腹圧の獲得と順を追って施術していきます。

 

ざっくりでもこのくらいの反り腰によるトラブルが思いつきます。

【まとめ】

 まず股関節屈曲筋、股関節内旋筋、多裂筋のかたさを緩める。その後エクササイズで腹圧を獲得することで骨盤の過度な前傾を防ぐと同時に、体幹を安定させ腰椎を保護するという流れです。最終的には正しい歩行動作を身につけるとかなり予防対策として有効だと考えています。

整体院まくまくは、上記のトラブルは全て対応しております。反り腰でお悩みの方は、お気軽にご連絡ください。相談だけでも構いません(^^)

人生100年時代、100年歩ける足腰を維持するには今回の話はかなり重要です。しっかりケアして、いつまでも歩ける身体を目指しましょう!

整体院まくまく院長 日高

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